この春の教え

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以前『CREA』という雑誌の読書特集で、大岡信さんの『瑞穂の国うた―句歌で味わう十二か月』を私のおすすめの本として取り上げてもらった。

それはめまぐるしい情報の渦に取り込まれて、人としての感覚が枯れていきそうな日々にそっと寄り添い、語りかけてくれる一冊。とかく現代人は季節の移り変わりにおいて、盲目的に過ごしてしまうけれど、例えるなら、春の空に喜ぶ一つひとつの“小枝”の存在に導いてくれる。

長きにわたり「折々のうた」という連載をされていた、朝日新聞の4/6の「天声人語」に大岡さんの発言が掲載されていた。

「柿本人麻呂、藤原定家、松尾芭蕉―。

先人の名を挙げて「すぐれた詩人は実作者、評論家、編集者

の一人三役を兼ねる。私も彼らを目標にしてきた」

書家として、大岡さんが抱いた目標のように、書を書くだけではなく、書を客観的に直視し、人に伝える努力を怠らないことの大切さを再認識する。

残される先人のことば、思考は、時を超えていくけれど、それを追いかけていくだけではなく、足元の季節にも目を逸らさずに、一歩一歩を大切にしていきたい。

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