苦悩のメカニズム

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多摩美術大学 嵯峨本プロジェクト

2015年に公開された映画『イミテーション・ゲーム』のDVDを遅ればせながら借りてきた。
借りた時にはタイトルからしてなんとなく半信半疑だった。でも、結局うっすら窓の外が明るくなるまで観てしまった上に、観終わった後もなかなか頭から離れない。

歴史スリラー映画と銘打たれた、基本的に実在のイギリス人、天才数学者アラン・チューリングの伝記。“彼”はナチス・ドイツ軍の暗号「エニグマ」の解読に成功し、戦争終了を二年早めたとされる立役者だったはず。ところが当時の同性愛禁止の法のもとに裁かれ、その後自殺してしまう。
遺体の側には青酸が塗られたかじりかけのリンゴが転がっていた・・・。

アップル社のロゴマークは、かじったリンゴであるが、それは偶然のようだ。
いずれにしても今日のコンピューターの基礎理論を誰よりも早く見出して、形にしていた。
だが彼の偉業は、国によって、半世紀以上も封印される。もし彼が正当な評価を受けていたのなら、イギリスはIT先進国になっていた、とも言われている。

激動の中に生きた一人の数学者の孤独と苦悩は計り知れず、書家である私の自問自答など足元にも及ばない。

今日、当たり前のようにコンピューターが使える時代となり、今や人工知能という言葉も普通に使われて、人間の直感とマシンの計算とどちらが勝るのかということも議論となっている。
では感情を必要としない人工知能が、個々の人間の苦悩のメカニズムを解析する日は来るのだろうか。仮に悩みがきれいさっぱり無くなったとして、それを幸せと呼べるのか。
やっぱり、相反することが共存し、割り切れないところが人間の優れたところではないかと思う。

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