プロジェクト概要

かつての日本人の感性

日本語は言葉の微妙なニュアンスにより、そのものの本質を的確に伝えることが出来る言語であると言われています。例えば”雨”を伝える表現も、霧雨、細雨、梅雨、氷雨、時雨、宿雨など、数え切れません。日本には春夏秋冬という四季があり、季節の移ろいや環境によって、日本人の豊かな感性は育まれてきました。

日常の”茶を飲む”という行為を「茶道」、”花を見る”という行為を「華道」という域にまで極めてきた日本人の美意識の高さは、日本語の造形である文字にも表れています。それは中国より伝来した「漢字」から「平仮名」が生まれた過程において、特に見ることが出来ます。

今の日本人には読めない、書けない古の書

しかし、漢字を崩していくことで平仮名を編み出したのは他ならぬ私たちの祖先ですが、今の日本人の多くが古の書の文字を見ても何が書いてあるのか分からないという現実があります。これは文字に対する想像力と美意識を失ってしまったということなのではないでしょうか。一方で、昨今、言葉としての「美しい日本語」が見直され、古の日本文化は世界中から注目も集めています。

日本には、美しい日本の文字がある

言葉に込められた精神性と、文字に備わっている美意識を同時に伝えられる「書道」は、世界の様々な国との関わりにおいて、日本文化を紹介する最適なツールと言えます。私は書道を通じて、世界の人々が日本文化への理解を深めて頂けるように、そして、日本人自身が自国の「文字」に再びアイデンティティを見出すことが出来るように、プロジェクトという形で、様々な方々との連携をはかっていきたいと思っています。

2008年  木下 真理子

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