2009年10月 ドイツ

CONCEPTⅠ>>

日本でも馴染みの楽曲『セレナーデ』を題材に

日本の文字を音で捉えてもらう

◇日本の美しい文字プロジェクト vol.2 ドイツ_1

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文字の音について

ドイツのヘッセン州にある公立・フランクフルト大学よりお招き頂き、同大学の日本語学科で特別講義を行いました。

デモンストレーションとして、奥田良三さん歌唱による『セレナーデ(ド)』(シューベルト作曲/レルシュタープ作詩)という楽曲のレコードをかけ、その歌詞の和訳を揮毫しました。これは「文字」を単純に視覚的側面からだけで捉えるのではなく、“音”としても認識してもらうためです。

次に私が揮毫した文字を目で追いながら、“声”に出して歌ってもらいました。

汝を呼ぶ われの歌
夜を行く 恋人よ 森かげの
われに来たれ
木の葉がささやく 月あかりに
月あかりに

これは恋人を想い、愛の成就を願うという歌ですが、日本の万葉集の恋の和歌を例えに出しながら、古代の日本にあった“言霊(言葉の霊力)の思想”を知ってもらうという解説などを行いました。

揮毫については、墨や紙を使わずに地面に“”で書き上げましたが、これは“水書”と呼ばれる表現方法です。

声に出す言葉と同じように、気化していきます。

◇フランクフルト大学HP※画像はクリックすると拡大してご覧頂けます

 

 CONCEPTⅡ>>

「万葉仮名」を題材に

日本の古代思想「言霊」を知ってもらう

◇日本の美しい文字プロジェクト vol.2 ドイツ_9

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「言霊」は「事霊」であった

『フランクフルト国際ブックフェア』の会場におけるワークショップは、日本から持ち込んだ絵馬”の札に、自分の想い(願い)に当てはまる言葉を、声に出しながら書作してもらいました。

また古代日本の、同一音に様々な漢字を当てはめて使用していた万葉仮名”についても学んでもらいました

例えば、“ア”という音には、阿、安、足、余、吾、網、嗚呼などの字が当てられていたように、「表意文字」である中国産の漢字が、日本では、はじめはアルファベットのように「表音文字」として使用されていたこと、それが後に平仮名にも繫がっていったということ、また同一音を翻訳的に当てはめる(つまり「表意文字」にしていく)ということも次第に行われていったということなどを解説しました。

そしてこうした万葉仮名を使った和歌が収められているのが万葉集』ですが、和歌の中には“コト”という音が、「言」=「事」の意味で表されていたことがあるように、〈声に出して発した言葉は、現実の事象に影響を与える(現実になる)〉、つまり「和歌を詠む」という行為が物事を成就させるための方法でもあったのです。このような“言霊思想”がかつて日本にあったということをここでも説明しました。

〈敷島の大和の国は言霊の幸はふ国ぞ真幸くありこそ〉

これは『万葉集』の中の有名な一首です。

ドイツ ワークショップ※画像はクリックすると拡大してご覧頂けます

 

日本の美しい文字プロジェクト vol.2 ドイツ_5

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