京都ヒストリカ映画祭 開幕~映画公開

11月30日、京都ヒストリカ国際映画祭の開会式があり、映画上映の前に「利休の生き方、その時代」というテーマのトークショーが行われ、『利休にたずねよ』の田中光敏監督と原作者で直木賞作家である山本兼一さんとのお話に参加させて頂きました。

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今回、私はご縁があり映画の題字を担当させて頂きましたが、『利休にたずねよ』は、東映京都撮影所制作の歴史映画としては、実に6年ぶりとなる作品ということで、撮影も東映の粋を極めた、選りすぐりのスタッフが集結して制作されたということです。また、利休に縁の深い本物の茶器を使用し、茶室をはじめロケ場所までも本物にこだわっています。

そして、市川團十郎さんが海老蔵さんの師匠役で出演されていらっしゃることは、普段は目にすることが出来ない本物の師弟関係の在り様を垣間見ることも出来ます。私はタイトルの他に、劇中題字や小道具として使われた書状なども手掛けさせて頂いていますが、実在した人物の書状に関しては、その人物の現存する書を臨書し、その書風を踏まえた上で書作しました。

するとトークショーでは監督から次のようなエピソードをお聞きしました。利休の妻、宗恩役の中谷美紀さんは、茶道のお点前の撮影に際して、利休役の海老蔵さんの所作を撮影した映像を見たいので、そのビデオを欲しいと監督に言われたそうです。中谷さんは日頃から茶道を嗜まれているということは存じていましたが、私は一瞬どうしてだろう?と思いました。そこはさすがプロフェショナルなお方で、中谷さん曰く、〈茶道の所作は、流儀に従っていたとしても、愛する人の癖など、似てくる部分があるはず〉ということで、夫役の海老蔵さんの所作の癖を取り入れたいという狙いがあったとのことです。監督がおっしゃられるには、映画をよく見ると、海老蔵さんの所作と中谷さんの所作に共通するところがさりげなく表れているとのことでした。

そんなスタッフやキャストの皆さんの力量と、細部に至るまでのこだわりが積み重なった結果として、モントリオール世界映画祭では最優秀芸術貢献賞を受賞し、世界においても、その芸術性の高さは認められたのだと思います。

山本さんのお話もとても興味深く、利休ははじめから侘び・寂びの人ではなくて、若い頃はギラギラしていて、いくつもの素敵な恋をしてきたからこそ、あそこまで高みの境地に辿り着いたのではないかということで、それはこの映画で描かれている利休像でもあるのですが、原作を書かれる段階から、海老蔵さんのことをイメージされていたそうです。

 

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