真冬の観覧車

先日、引越したばかりの後輩の家に遊びに行った。
その街は郊外にあるのだけれど、駅前はとても栄えていて、商業施設の上にはなんと観覧車も。
帰りに乗ってみよう、私はそう思った。

夜になり、駅まで見送ってくれたその後輩と乗ることに。
下から見上げる観覧車は、キラキラとしたその姿を見ただけで、すでに‟乙女”ではないふたりを夢心地にさせてくれた。

観覧車は思っていたよりスローに回転しながら、頂を目指してゆく。
乗る時にギイギイと響いた機械音も、高さとともに次第に静かさを取り戻す。
ところが、想定外に冷たい突風が観覧車をゆらゆらと揺らし、夜のしじまと相まった途端、私は足がすくんでしまった。
眼下に広がる美しい景色を観賞する余裕など、すっかり失ってしまったのだ。
写真は手すりにつかまりながら、必死になって撮影した1枚。

ところで、観覧車と言えば、以前ある出版にまつわる作業で、様々な書作品の題材を探していた時に出会った、好きな歌がある。

観覧車 回れよ回れ 想い出は 君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)

この短歌の作者である栗木京子さんは、学生の頃の実体験を31音に込められたそうだけれど、読む側の解釈によっては、甘くせつない恋心を描いたものにもとれる。

ロマンティックなひと時を過ごそうと思って恋人と観覧車に乗る。でも、乗った途端、その時間は過去へと変化し“思い出”となってゆく・・・

いずれにしても、人生を観覧車と重ね合わせている。

私にとって今回乗った真冬の観覧車は、人生の厳しさを肌で感じるような現実だった。
でも、こんな出来事もいつか楽しかったと思える日がくるのかもしれない。

    真相報道 バンキシャ!

    バレンタイン

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