花鳥風『月』食

本日、ある取材が行われたのですが、立ち会ってくださった広告代理店の方から、京都のお土産を頂きました。鮮やかな彩り、香しい風味がパックされた京漬物です。

漬物には日本独自の文化をそこに見てとることが出来ます。日本には「箸休め」という言葉がありますが、主体となる料理の間に、漬物を出すことで、前後の料理の味をより楽しむ、ということがありますよね。

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ところで。このところ慌ただしくて、なかなかブログの更新が出来ず、すみませんでした。と、言いつつ、本屋さんでとある文芸誌を手に取ったところ、片岡義男さんの新作の短編小説が掲載されていて、思わず買ってしまったのですが。少しだけ立ち読みして、でもあとは時間が出来た時の楽しみにとっておこうと思います。

それにしても、数行読んだだけで、慌ただしかったことが嘘のように、小説の中の情景が心に拡がり、清々しい風が送られて来ました。片岡さんの作品は、いわゆる80年代の全盛期(多作期)にはリアルタイムの読者ではなかったのですが、数年前に『日本語の外へ』という本を読んで以来、数々の小説やエッセイを遡って読んでいます。片岡さんはお父さんが日系2世で片岡さん自身も少年期をハワイで過ごされたそうですが、だからこそ、逆に日本人らしさ、美しさが客観的に見えていて、語れる方なのだと思います。

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さて、東日本大震災後、日本人らしさ、日本らしさということがあちらこちらで語られています。それが何であり、またそれが今、保持されているのかなど、いろいろな考え方があると思います。私が思う古からある日本人らしさとは、一言で言い表すと“間”です。家の作りを見ても、日本家屋には、居間、土間、床の間などがありますよね。間を大切にする、それは空間だけでなく、人と人との間、時間ということについても言えて、そうしたことに長けているのが日本人の特性のように思います。

冒頭に書いた、漬物を食する文化もそうですよね。“間”、言い換えればそれは”心の余裕”であったり、“心の豊かさ“であるのだと思います。それが、今は、『月』が姿を隠してしまっています・・・。一日も早く、東北地方の人たちが、この“間”を日常生活に取り戻せることを願わずにはいられません。

もうひとつの現実

雨音とキャンドル

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