サイトアイコン 書家/書道家 木下真理子

The Art of Progress partⅠ

先日のことですが、月曜日の18時30分から行っているプランタン銀座の定期講座の前に、少しでも時間が取れるようにと、その近辺にあるルノアールという喫茶店の会議室を5時間も押さえて(笑)、締め切りが迫った作品の仕上げをしました。5名用の部屋を一人で使ったわけですから、会議テーブルも一人占めです(笑)。

でも、このような場所で書道をするなんて、目的外使用で、本当はいけないことですよね・・・。スミマセン。始めは少しドキドキしましたが、何の干渉もされることがなく、書作に集中出来て、作品は無事に書き上がりました。

普段は、ほとんど行くことがない、いわばサラリーマンの聖地に足を踏み入れて・・・、こうした喫茶店は、ただ単にお茶を飲んで、休憩しに来るといった所ではないんですね。会社では出来ないようなヒソヒソ話をしている人や、一方で人と交わることを拒んでいるように自分の世界に没頭している人がいたり、何やら混みいった商談をしている人もいて、公の場所のようでありながら、まるで秘密のアジト(笑)のような、不思議な空間でした。

ごたぶんに漏れず、私もこっそりと作品を書かせて頂いたのですが、自分と向き合うことが出来て、集中力さえあれば、案外どんな場所でも書けるということに気が付きました。そして、ふとその時に思ったのですが、〈弘法筆を選ばず〉というのは、空海さんが、道具だけではなく、その環境も選ばなかったことが含まれていたのではないでしょうか。

書道はけして上流階級の人たちだけのものではありません。道具や場所といったこともさほど重要ではなく、またそうした物質的な価値観が〈一流の証である〉といったことに結びつくものでもありません。やはり、〈文字に対するリスペクト〉精神があるかどうかが大切なのだと私は思います。

さてそれはそれとして、今度は数日前に大相撲の聖地である国技館で行われた、あるイベントに参加させて頂きました。そこで、書道においては日本初のこととお聞きしましたが、新しい試みを行いました。改めて来週、ご報告させて頂きます。

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