サイトアイコン 書家/書道家 木下真理子

連島境界刻石

私はちょっとしたものでも納得出来ないものは購入する気になれない性分で、昨日も切れてしまった洗濯用の洗剤を、電車に乗って隣町まで購入しに出かけた。不要に時間を浪費していると言われそうだが、それはそれで四季に応じて変化していく街並みを見るだけでも、気持ちは晴れる。

そんなことをしていて、ふと思い出したことがある。もう随分前のこと。中国は江蘇省・連雲港市にある「連島」に、悪天候にもかかわらず船に乗って、その島の断崖絶壁にある「岩に刻まれた文字」 を見に行った。岩に刻まれたままの状態で現存している文字というものを見たかったからで、世間ではこれを物好きと言う。 その渡航において、日本では入手困難な中国の書籍を出来るだけ多く購入してこようと、トランクを空にして渡航したことも(笑)、懐かしい。

写真にあるのは、当時購入してきた本で、大きく写っているものが、その連島の岩に記された「連島境界刻石」。

本当に大切なもの、そしてそこに感じる歓びは、貴重な物だからという価値にではなく、手に入れるための“苦労”の大きさによるのではないだろうか。

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