サイトアイコン 書家/書道家 木下真理子

ただの日用品、されど

ある日用品が必要となって、インターネットでいろいろ調べていたら、かつてよく利用していたF.O.B COOPというお店が、昨年末に閉店していたことを知った。オンラインショップの方はまだ利用ができるようだけれど、実際の店舗と比べると品目も少ない。

確かこのお店を利用しはじめたのは、『アピルコ』社のカフェ・オ・レ・ボウルを購入してから。《日常で使う実用品だから何でもいい》という感じではなく、《日常で使うからこそ、使う度に愉しみが味わえるものを》という感覚で、一つひとつのものが丁寧にセレクトされていた。

どんなものにも、それが生まれた文化的背景と育まれてきた歴史がある。日本の古代思想において、“物”=“霊”と捉えられていたところがあるが、やはり“もの”には、“ものがたり”が付帯しないとつまらない。

私の場合、日用品でも“ものがたり”を感じながら使用することが愉しいし、デザイン的には飾り気がなく、でも狙ってそうなっているのではない頃合いのものがいい。なかなか難しいことではあるけれど、やはり一生に渡って関係の続くものを見つけたい。

F.O.Bで出会ったカフェ・オ・レ・ボウルとも、20年ほどの付き合いになる。

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