サイトアイコン 書家/書道家 木下真理子

書作という慰め


10月に入り、今年も残すところ3か月となった。
すっかり日暮れは早くなり、放課後の校舎には夕陽が低くもたれかかっている。
いくつもの季節を窓越しに眺めながら、私もようやく、一つの仕事の終着点に手が届きつつある。

さて、今年もさまざなニュースがあった。
何がどうと言うまでもなく、世の中は今、ものすごいスピードでパラダイムシフトが起こっている。
人の思考速度をすっかり飛び越えた情報は、人の気持ちも置き去りにしたまま、より早く、先へ先へと進行していく。
まるで、進むことしか許されないかのよう。

私たちは、それを長らく〝進化〟と呼んできたのかもしれない。
でも、それは本当に進化だったのだろうか。

書道に関しても、すっかり毛筆が過去の道具となり、硬筆時代を経て、書く時代から打つ時代に変わったと言われてからも久しい。
文字はもはや手を離れ、言葉も人の真心から離れつつある・・・

でも、だからこそ、私は筆を持つ。

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