mirror work ⑥
「女は破れ窓の障子を開らきて外面を見わたせば、
向ひの軒ばに月のぼりて、此処にさし入る影は
いと白く、霜や添ひ来し身内もふるへて、寒気は
肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる
如く眺め入て、ほと長くつく息、月かげに煙をゑが
きぬ」 樋口一葉
mirror work ⑥
「女は破れ窓の障子を開らきて外面を見わたせば、
向ひの軒ばに月のぼりて、此処にさし入る影は
いと白く、霜や添ひ来し身内もふるへて、寒気は
肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる
如く眺め入て、ほと長くつく息、月かげに煙をゑが
きぬ」 樋口一葉
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