2009年5月 韓国 レポート

CONCEPTⅠ>>
平安王朝文化の象徴である『源氏物語』を題材に
日本の文字のルーツを知ってもらう

◇日本の美しい文字プロジェクト vol.1 韓国_1

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平仮名は漢字から生まれた

中国から伝来した漢字(日本では「真名・まな」とも呼ばれた)を基にして、平安時代に、漢字を使うことを控えていたとされる女性たちによって「平仮名(「女手」ともいう)」は確立していきました。「あいうえお」における、漢字の草書体(草仮名)からの変化は、それぞれ、安→あ、以→い、宇→う、衣→え、於→お、になります。そして平安王朝文化の中で、墨や筆づかい、歌を書く料紙(りょうし)の工夫などによって、この日本独自の文字の美しさは極まりました。

平安という時代感と空間性

『ソウル国際ブックフェア〈日本年〉』の会場では、平安時代の生活文化と平仮名の美しさに触れてもらおうと、その時代に空間を壁で仕切る代わりに用いられていた“御簾”に見立てた布に、女流文学の最高峰であり、世界最古の長編小説とされる『源氏物語』をデモンストレーションとして席上揮毫しました。そこには同じ東アジアの「漢字文化圏」である韓国の人たちに、日本の文字のルーツと独自性を紹介するという趣旨がありました。

平安時代は『陰陽師』という陰陽道の映画でも描かれていたように、人々が怨霊などスピリチュアルなものと向き合って生きていた時代でもありました。またこの頃より“神仏習合”という考え方も整いましたが、このような時代背景をお伝え出来ればという考えから、神職者として登用されていた“巫女”の衣装を特別なはからいによりお借りし、着させて頂きました。

 
CONCEPTⅡ>>
韓国で著名なユン・ドンジュの詩文を題材に
意味を理解しながら、日本の文字を書いてもらう

◇日本の美しいプロジェクト 韓国

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同じ漢字文化圏で

ワークショップでは、韓国で敬愛されているユン・ドンジュの有名な詩文の和訳を題材にして、韓国の人たちに現代の日本語表記(漢字かな交じり文)の書作を実践してもらいました。言葉の意味を理解しながら書いてもらうことで、日本と韓国(ハングル)の文字の違いが鮮明になりますので、それぞれの国の文字の歩みに想いを馳せてもらえればと考えました。

◇2009年ソウル国際ブックフェア

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ユン・ドンジュ 序詩

죽는 날까지 하늘을 우러러
한 점 부끄럼 없기를
잎새에 이는 바람에도
나는 괴로워했다.
별을 노래하는 마음으로
모든죽어 가는 것을 사랑해야지
그리고 나한테 주어진 길을
걸어가야겠다.
오늘 밤에도 별이 바람에 스치운다.

死ぬ日まで空を仰ぎ
一点の恥辱(はじ)なきことを、
葉あいにそよぐ風にも
わたしは心痛んだ。
星をうたう心で
生きとし生けるものをいとおしまねば
そしてわたしに与えられた道を
歩みゆかねば。
今宵も星が風に吹き晒される。

 

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