CONCEPTⅠ>>
日本の美意識と精神を感じさせる語句を題材に
習字と書道の違いを知ってもらう
♦ 芸道としての心得
カザフスタンでは、アスタナ大学において、まず日本語教育の機関を持った大学関係者や教授などをご招待してワークショップを行いました。実際に書道を体験するのは始めてという方がほとんどでしたので、道具の使い方から、日本の学校教育における書写と伝統文化の書道の違い、書道の芸道としての心得(古に思いを馳せ、古に学ぶ。心静かに自分と向き合い、鍛錬に励むことなど)について説明しました。書作の題材には、以下のキーワードから日本特有の概念を紹介し、それにまつわる諺や言葉を書いてもらいました。
「神」―祈らずとても神や守らん(古代の自然観について)
「情」―仁は愛を主とす(“義理”と“人情”という情感について)
「無常」―末の露本の雫(“移ろい”の概念について)
「幽玄」―秘すれば花(“そこはかとなさ”という美について)
※画像はクリックすると拡大してご覧頂けます
CONCEPTⅡ>>
日本の美意識と精神を感じさせる語句を題材に
書道で「風流」を感じてもらう
※画像はクリックすると拡大してご覧頂けます
♦ 書体の違い
カザフスタン2日目は、一般の方々を対象に、日本の書の特徴を書写の基本である“楷書”という書体と“行書”という書体をそれぞれ比較しながら実作してもらうというワークショップを行いました。題材の意味を説明して、日本人の感受性についてもお話しました。
「清」―水清ければ月宿る(“清明心”を持つことについて)
「粋」―粋(上方の“スイ”と江戸の“イキ”の違いについて)
講義の最後に、あるご高齢の女性が立ち上がって次のような感想を述べてくださいました。その方は建築の設計のお仕事をされている方で、日本人のご友人もいるということでしたが、ご自身が日本語を勉強されていた当時はこのような機会や環境も少なく、でも今は日本に興味を持っている若い仲間も沢山いて、こうした機会も得ることが出来て、本当に嬉しいと。また日本の書の神秘性に強く惹かれたと語ってくれた学生さんもいました。日本により関心を持ってもらえるきっかけが作れたとしたら、私も嬉しい限りです。