伝統の証

FENDI

今年、創業90周年を迎えられたFENDI。このイタリアを代表するファッション・ブランドの「日本上陸50周年」のキャンペーン広告に、書を使用したいというお話を先般頂いた。ご依頼頂いたのは、「50 YEARS in JAPAN」という数字とアルファベットによる言葉。

ご存知のように、日本はもともと毛筆による「縦書き」文化の国である。天(上)から地(下)へと言葉を書き下すのは、漢字由来のものであるが、アルファベットは左から右へとなる。日本で「横書き」文化が浸透し始めたのは、西洋文化が流入した明治維新後であり、活版印刷機(活字)の普及と同時期である。

日本の伝統である毛筆を用いて、アルファベットによる横書きを書かせて頂くにあたり、一番意識したこととしては、西洋の「カリグラフィー」とは違う、書道独自の技法を用いて書くということだった。カリグラフィーも文字を美しいものとして見せる手法ではあるが、それは「デザイン・フォント」の発想に近いし、毛筆というものもただの筆記用具ではない。では、どのようにして書道のアプローチを行えばよいのかという命題において、今回は“抑揚”、“疎密”、“潤渇”という技法を意識しながら書作した。海外から期待される書の美意識を、アルファベットの姿形に投影することが出来たと思う。

イタリア本社のピエトロ・ベッカーリ会長兼CEOが、日本の伝統文化への造詣と書への愛情がとても深く、この広告制作についてご尽力されたことも、ここにお伝えしたい。

掲載予定

VOGUE JAPAN(2月27日発売)、家庭画報4月号、Precious4月号、読売新聞

  • 2015年03月02日

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