賈至詩

0930_3

2002 「賈至(かし)詩」

   H165×W42cm

(第64回謙慎書道会展 於:東京都美術館)特選謙慎賞

 

書き下し文

「早朝大明宮呈両省僚友」 (七言律詩)

早(つと)に大明宮(だいめいきゅう)に朝(ちょう)し、両省(りょうしょう)の僚友(りょうゆう)に呈(てい)す 

銀燭(ぎんしょく)朝(あした)に熏(くん)じて 紫陌(しはく)長(なが)し 禁城(きんじょう)の春色(しゅんしょく) 暁(あかつき)に蒼蒼(そうそう)たり 千条(せんじょう)の弱柳(じゃくりゅう)は      青瑣(せいさ)に垂(た)れ 百囀(ひゃくてん)の流鶯(りゅうおう)は 建章(けんしょう)を繞(めぐ)る   剣佩(けんぱい) 声(こえ)は 玉墀(ぎょくち)の歩(ほ)に随(したが)い 衣冠(いかん) 身(み)には 御炉(ぎょろ)の香(こう)を惹(ひ)けり 共(とも)に恩波(おんぱ)に沐(もく)す 鳳池(ほうち)の上(ほと)り 朝朝(ちょうちょう)翰(かん)を染(そ)めて 君王(くんのう)に侍(じ)せん

 

意味

宮殿の銀色のともしびは夜明けまで燃え続け、都大路はその前に、長く横たわっている。禁裡の春景色も、明けがたのことだから、まだ薄暗い。細い柳の枝は、何千という筋を、青く塗った門の窓の外に垂らしており、さまざまに鳴きかわすうぐいすは、枝をわたりながら、建章宮をめぐって飛ぶ。私の腰にさげた剣や佩玉は、玉をしきつめた床の上を歩むにつれて音をたて、身につけた衣冠には、みかどの香炉にくゆらす香りがこもる。

おたがいにこの鳳凰池で、わが君の恵みの波を浴(ゆあ)みするとは、なんとありがたいことだろう。されば朝ごとに筆をそめつつ、みかどのおそばにつかえて、職務にはげもうと思う。

 

出典

唐詩選

 

崔顥詩

沈佺期詩

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