崔顥詩

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2004 「崔顥(さいこう)詩」

     H165×W42cm

(第66回謙慎書道会展 於:東京都美術館)推薦顧問賞

 

書き下し文

「黄鶴楼(こうかくろう)」 (七言律詩)

     昔人(せきじん)已(すで)に白雲(はくうん)に 乗(じょう)じて去(さ)り 此(こ)の地(ち)空(むな)しく余(あま)す 黄鶴楼(こうかくろう) 黄鶴(こうかく)一(ひと)たび去(さ)って 復(ま)た返(かえ)らず 白雲千載(はくうんせんざい) 空しく悠悠(ゆうゆう)たり 晴川(せいせん)歴歴(れきれき)たり 漢陽(かんよう)の樹(じゅ) 芳草(ほうそう)萋萋(せいせい)たり 鸚鵡洲(おうむしゅう)   日暮(にちぼ) 郷関(きょうかん) 何(いず)れの処(ところ)か是(これ)なる 煙波(えんぱ) 江上(こうじょう) 人をして愁(うれ)えしむ 

 

意味

かつてここを訪れた仙人は、もはや白雲に乗って去り、この地には今はただ、 黄鶴楼が残っているばかりである。そのかみの黄鶴は、飛び去ったまま、もう帰っては来ない。ただ白雲ばかりが、千年の昔も今も変らぬ姿をとどめつつ流れて 行く。晴れわたった川の向こうには、漢陽の町の木々が手にとるように見える。 鸚鵡洲の上には、美しい花をつけた草が、一面に生い茂っている。

だが、日は暮れかかってきた(夕暮れともなれば、郷愁がわく)。わがふるさとは、どのあたりであろうか。夕靄におおわれ、はても知らず川波の続く揚子江のほとりの風物は、私の胸に、ふるさとを恋う思いをかきたたせる。

 

出典

唐詩選