恋の基準

暖かな陽気に誘われて、しばらく恋について考えていました。なんとなく違う、という理由で、恋にならない時。“恋の基準”はどこにあるのでしょう。

もともと「恋」という字は、古くは攣の字を使用し、人に心攣(ひ)かれることを戀(こい)と言い、「こころひかれる、したう、こう、こいしい、こい」の意味と言われています。また、今は異性間の特別な感情について使われるのが一般的ですが、古語では広く、人や事物に対して慕わしく思う気持ちを表す言葉。

そして、自分の求める人や事物が自分の手中にある時には「恋」の思いとならず、手中にしたいという思いがかなえられずに、強くそれを願う気持ちが恋、とのこと。今でいう“恋慕”に意味合いが近く、喜びならず、悲しさ、苦しさ、涙などと結びつく思いなのだそうです。

理路整然とした自分の習慣の中に、見たことのない服、真新しいしぐさ、柔らかな喉から吐かれる声、合間に流れる香り。それらの存在をふと感じた時、触れた瞬間に、言い表せない恥じらいや心にとめる隠微なものは、さらに情熱を駆り立ててゆきます。

恋は最大の感動という感情なのではないか、と少し前に感動した瞬間を心の中で辿ってみたりするのです。