先週の彼に関する出来事は、事件そのものというより、そのあまりに過熱した報道に驚かされてしまいました。事件のことは、私個人としては、肯定も否定も出来ません。もちろん法律があるから秩序が保たれ、社会が成り立っているということは事実ですし、人間にとって法律を守ることは正しことなのかもしれません。ただ一連の彼に関する報道は、その法律を盾にとって、一個人の人間らしさをとことん奪っている行為にまで及んでいるように思えました。
そんなことを思っていたら、以前、あるご年輩の方から、こんな一言を聞いたことを思い出しました。「人には、それぞれに事情がある」何気ないようでいて、とても深い言葉だと思いました。パッと見ただけでは分からない、様々な事情を抱えながら、皆、生きているということですが、それは逆に言えば、各々で事情を他人に知られたくないから隠しているとも言えます。人と人との間に、“思いやる”ことがあと少しだけあったなら、今の世の中は、随分生きやすくなるような気がします。
古の時代、“思いやる”とは、遠方の状況や事物を想像する、悲しい思いをどこかにやる、という意味があったそうです。