先日、韓国へ行ってまいりました。今回、私が招待頂いたのは、『ソウル国際ブックフェア』(SIBF2009)という世界各国の本が一堂に集まるイベントです。COEXという日本のビックサイトのような国際展示場で5月13日~17日まで開催していました。
※写真はクリックすると拡大してご覧頂けます
今年は主賓国が「日本」ということで、会場の入口正面に、日本ブースが大きく設けられ、数多くの日本の出版社が参加されていました。また、日本ブースの入口にある「JAPAN」という文字は私が書かせて頂いたものです。
私は江國香織さんや吉田修一さんといった作家さんたちとともに、日本の伝統文化を知ってもらい、韓国の方々と文化交流をするという、いわば親善大使的なお役目を頂いて、このイベントに参加させて頂きました。
今回、私が何をさせて頂いたかと申しますと、日本ブースを四方とり囲むような形で掛かっている、高さ3m、全長20mの布に、約5時間かけて源氏物語の一節を揮毫しました。
源氏物語は、平安時代中期に紫式部によって書かれた世界最古といわれている日本を代表する長編小説ですが、このような文学が生まれた背景には、中国から伝わった漢字が、日本では女手(おんなで)と呼ばれる仮名として成立することになった文字の歴史と重なっています。
また、その頃の日本の暮らしには、ほのかなロウソクの明かりを灯してできる「陰影」や着物をすって歩いてできる「衣ずれの音」というものがありました。今回、布を御簾に見立て、レース地の白い布に、墨で文字を書くことで、いわば「古の遠い記憶」のようなモノクロームの世界をその空間に表現して、その時代の日本の生活や文化の美意識を少しでも感じとってもらえたらと思いました。
日本の真の伝統文化を海外にプレゼンテーションする、そのような企画に私をご推薦頂いた(財)日本書籍出版協会さんに感謝致します。
二日目のワークショップの模様はこちらをご覧ください。
日本の美しい文字プロジェクト →記事
また公開揮毫の模様は韓国のメディアにも取り上げられました。それについては下記の関連記事からご覧ください。
THE UNION PRESS →記事
→(UP PHOTOは「기노시타 마리코」で検索して
ご覧頂くことができます)
Daum →記事
※新聞記事のため、期限が過ぎるとリンクが切れてしまうことがあるかもしれません。予めご了承ください。