言わずと知れたことであるが、日本は法治国家。いくつもの法に守られて安全で安心な生活を送ることが出来ているということに異論はない。ただ「法」が絶対価値としてあり、それに合わせようとする余り、逆に人間そのものが歪められているという側面があることも事実。人間の“感情”や“想い”は排除され、法的効力の有無が答えとなる。利害関係は多岐に渡り、法律の条文は複雑化する。
そういう意味では、聖徳太子による、あの「十七条憲法」は、あらためて読むと素晴らしい。それは、人が守るべき大切なことは17個で足りると読み取れる。そして、守り、律するべきは「人の行為」というより、「人の心」の方なのだということを教えてくれる。
第十条
われ是とすれば則ち彼は非とす。われ必ず聖なるにあらず。彼必ず愚なるにあらず。共にこれ凡夫(凡人)のみ。是非の理なんぞよく定むべき(誰が定められるだろう)。相共に賢愚なること鐶(耳輪)の端なきがごとし。