タオとAI

ある題字のご依頼で、「不老」という言葉を揮毫している。

「不老不死」の思想については、道教のルーツである神仙思想に伺えるところがある。ようするに長寿のことであり、その為の養生術が説かれている。

今の時代は、「長寿」というより「不老」ということに重きが置かれているようで、それは「アンチエイジング」という言葉が時流であることにも表れている。みんなが若さを取り戻せたら、低迷している消費活動も促されるのかもしれない。

ところで時代はAIという人工知能の研究にも邁進しているが、〈脳が機械〉で〈身体は生身〉で構成されたロボットはできるのだろうか。さらに人間は〈脳が実物〉で〈身体は機械〉になるのだろうか。たしかにそれだと「不老」にはなる。

少し話が飛んでしまうが、以前あるTV番組で、私の書作を「書道ロボット」が再現するという企画をご提案頂いたことがあった。ただ私が書の再現は難しいのではないかとお伝えして実現に至らなかった。何故再現が難しいのかと言えば、私の動作そのものをロボットが記憶して“字形”をそのまま再現出来たとしても、“滲み”はその瞬間、瞬間の自然条件に左右されるし、“擦れ”もその時の私の気の在り方でニュアンスが変わってしまうからだ。

書の奥深さもそこにある。

ただ合理性が追求される現代においては、ロボット化を目指すことと、修行を積んで神仙(仙人)を目指すことでは、やはり後者は時代にそぐわないことなのかもしれない。

タオとAI

時を打つ。

海か、山か、芸術か?

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