断片

アンビエントという音楽のジャンルがある。平たく言えば環境音楽という意味だと思うけれど、それはBGMとは違う。BGMはあくまで何かをしながら聴くもので、私はこの言葉がカラオケという言葉と同じくらい好きにはなれない。
と言いつつ、私は自分の書道の講義で、ブライアン・イーノの「Ambient 1: Music for Airports 」や「Ambient 2: The Plateaux of Mirror」をBGMとしてかけていることが多いので、何を言っているのかと生徒に指摘されそうだ。でもこの作品は、現実と空(くう)の世界を調和し、書作を行う上で集中力も高めてくれる。

先週の話の続きになるけれど、今回のアートプロジェクトのメンバーで、映像作家の山本信一さんが引き寄せてくれたのが、音楽家のコリー・フラーさん。コリーさんは坂本龍一さんとのコラボレーションも知られている先鋭的な音楽家で、彼のイマジネイティヴな音楽は、あえて例えるなら先のアンビエントよりも音響系と言われているものの方に近いのかもしれない。音響系とは、コトバンクを見ると〈音響素材の直接的操作と構築といった制作手法を特徴とし、はっきりしたメロディや和声を構成するよりも、音響の微妙なテクスチャーを重視した一連の音楽を指す〉とある。

コリーさんに、かつて「JAPAN」というバンドで活躍していたデビッド・シルヴィアンについて訊ねたことがあった。デビッド・シルヴィアンは坂本龍一さんとのコラボもしているし、私は彼のソロアルバムのアートワーク(特にアートディレクターがラッセル・ミルズで東洋的なデカダンスを感じさせるもの)を気に入っていて宝物にもしている。
コリーさんは「デビッド・シルヴィアンは好きだけれど、彼が意識している東洋と僕が子供の頃から経験してきた日本とは、全然違うものだと思う」と言った。
そして「音楽をつくる時は東洋とか西洋とか、頭で意識するというより、色彩とか音色とか形のことしか考えていない」。そんな言葉が印象的だった。

彼の音楽はジャンルなどで括れないボーダーレス、脱境界線のもの。
今回の3人による作品も、この「曖昧さ」がひとつのテーマとなっているような気がする。
新宿区HP

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