■短期集中連載「台北 國立故宮博物院」展■
第五話 漢字文化圏に生きて
もともと中国で発明された「漢字」ですが、毛沢東の文化大革命の流れで、簡略化されすぎた文字の形となりましたが、批判もあって揺り戻しが起こり、現在の簡体字となって使われています。ただ、台湾と日本では、漢字は正体字(繁体字)のままで使用されています。また、日本では漢字から仮名が生まれ、隣国である韓国は漢字からハングルが、ベトナムでは漢字からチュノムが生まれています。
昨今、国家間の摩擦は残念に思うところがありますが、私たちは、今一度、「漢字」という文化圏である者同士で、もっと心と心が寄り添えないかと願っている人は多いと思います。そういう意味でも、今回の『台北 國立故宮博物院』展は、漢字文化圏の人として、心の絆を再発見出来るのではないかと思います。
次回、最終回では、書家である私がお勧めというか、思い入れのある展示品、やはり「書」になりますが、それについてお話させて頂きます。
第五話「漢字文化圏に生きて」