心休まる映画、愛情に包まれるような映画、ホロッと涙がこぼれるような映画、何でもない日常が愛おしくなる映画。
最近はサブスクといわれて、映画館に通うまでもなく、ネット環境さえあれば数えられないほどの映画の数々を視聴することができる。
ただ、名画とされる映画は沢山あれど、一筋縄ではいかない映画にはなかなか巡り合えない。
人間の深部に漆黒の渦巻きが入り込み、価値観が揺さぶられて、結末がどこに向かうのかも分からないまま突き進んでいく。
「青春の殺人者」(1976)
「太陽を盗んだ男」(1979)
親に手をかけた青年は、内なる感情の渦に巻き込まれていった。
プルトニウムを盗んだ青年は、自分が生きている価値を見失い、自らの生命をかけた。
そんな非常識で非日常のシーンが、常識や日常のリアルと表裏一体に存在し、時代へのキリキリとした怒りや悲しみの先の狂気が、静かな顔を装って息をひそめている。
こうした危険性を敢えて〝エンタメ〟の映画に込めた、稀代の映画監督など、もう現れないかもしれない。
2022年、何とかして当日券のチケットを手に入れたいと、日頃、行列に並ぶことのない私が、早朝から5時間以上も並んだあの日のことは、一生忘れられない。
