冬の風物詩

師走となりました。皆さん、忙しくお過ごしのことと思います。私はと言えば、12月だから忙しいといったわけではありませんが、寒さが厳しくなるにつれて、この時期はついついタクシーに乗ることが多くなってしまいます。

そんな12月の思い出に、数年前の雪がしんしんと降っていた夜があります。その日は夜中の1時位に、何故かオフィス街からタクシーに乗りました。そんな時間ですので、オフィス街はもちろん寝静まっていて、明かりもほとんどありませんでした。なので暗闇に真っ白な雪が舞い落ちてくる情景は、それはそれは美しいものでした。

そんな雪に見とれていると、カーラジオから音楽が流れてきました。アナログ放送で音はこもっていたのですが(それがまた趣あって良かったのですが)、美しいピアノの旋律から始まる曲でした。そして、♪あふれるほどの悲しみだから、こぼしてしまえたらいいのに・・・歌っているのは森進一さんでした。

それは演歌というよりもシャンソンといった曲で、♪はじめて泣いた はじめて泣いた、僕は夢の中で・・・聞いているうちに、ふうと涙が溢れていました。

人と同じように歌にも景色にも出逢いがあります。その歌のタイトルは“悲しみの器”だったと思いますが、喪失感に苛まれていたあの日の夜、雪と一緒に私に優しさをくれました。