宮城県の気仙沼で漁師をされている畠山重篤さんは、NPO法人『森は海の恋人』の代表でもあります。この団体のことは、以前親しい友人から聞いていました。
1970年代、気仙沼湾では、牡蛎が赤く染まってしまういわゆる「血ガキ」と呼ばれた被害に見舞われたそうです。その原因は工場から垂れ流される汚水、一般家庭からの汚水、農業現場で使用される農薬や除草剤によるものでした。そこで、畠山さんは気仙沼湾を再生するために、森に植樹をしようと考えました。
漁師さんなのに、海だけを見ているのではなく、森のことに考えが及ぶということが、本当に凄いとその時思いました。広葉樹の森から流れる清らかな水が、海中の植物プランクトンを繁殖させ、それによって生態系を回復していくというもので、20年以上かけて5万本を超える木を植えてこられ、気仙沼の海は、見事にその豊かさを取り戻しました。
しかし。今回の大震災にあわれて、畠山さんは70の養殖イカダと5隻の船、事務所等を津波で喪失してしまったそうです…。先日、メディアのインタビューでは、次のようなことを話されていました。
「こういう仕事の(漁師をしている)、宿命なんですよね」
・・・言葉になりません。畠山さんは再起をけして諦めていないように、その静かな語り口の中に、力強さを感じました。
さて、そんな畠山さんのことを教えてくれた友人が、来週の4/23の土曜日、ワーク・ショップを開催します。題名は『緑の生き方塾』。これは植物学者であり、進化生物学では第一人者である東京農業大学の吉田先生がオーガナイザーを務められて、毎回、緑(自然)に携わる仕事をしている人たちを招き、対話が出来るという催しだそうです。
一回目のゲストはサボテンを研究されている方とのこと。ただ、一言にサボテンといっても、その方が生育されている種類は3千種類以上!にものぼるようで、ここにも、地球のスケール感と互角に生きている人がいらっしゃいます。
もしかしたら、ホワイトカラーの人たちが作ってきた文明社会の価値観や常識が変わるかもしれない、そんな昨今において、これから私たちはどのように生きていけばいいのか、そのヒントを得られるのではないかと、そんな予感がします。ご興味のある方は、是非!
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