先日、少し紹介させて頂いた『ジュリエットからの手紙』。先週の土曜日から、渋谷の文化村のル・シネマ他にて、始まっています。
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この映画は、想い出として心の奥にそっとしまっておいた恋に、戸惑いや葛藤を感じながらも、決着をつけようとするお話です。そして、過去の想い出が風化せず、今も目の前に現れる・・・そのための小道具として、手紙があり、そこに書かれた文字があって、と、そんな素敵な映画です。
最近読んだ五木寛之さんのエッセイに、シックマインド(病める心・悩める心)とヘルシーマインド、概ね人はその両方を兼ね備えていて、と書かれていたのですが、これに当てはめて言うなら、この映画は、シックマインド寄りの人は間違いなく好きだと思います。もちろん、私はおもいきり、シックマインドですが(笑)。ヘルシーマインド寄りの人は、とても現実的な考え方の持ち主で、〈自分とは何か〉とか、あれこれと悩むこともなく、でも実はこういうタイプの人は身の回りに多い、とも述べられていて、これには妙に納得したりもしてしまいました。
ところで、文字というのは、意思伝達や出来事の記録の為に生まれたものですが、ヘルシーマインド的に見れば、それは単に言語の記号でしかないのかもしれません。しかし、私はこの映画でも描かれているように、文字には人間の行動を変えてしまう(背中を押す)力も持っているのではないかと考えています。古代、文字は占卜(せんぼく)や呪術を行う為にも使われており、一見、無機質な記号にしか見えない文字も、“想像力”を持って捉えることが大切だと、それは学術的にも言えることですが、そう思います。
フォント制作でお世話になっている字遊工房の社長でいらっしゃる鳥海さんとも、今度このあたりのお話をしてみたいと思っています。