書道を志すなら、睡蓮のように

先日、書道漫画のモデルにもなったと言われる高校の書道展出品に関して、不正があったというニュースが報道されました。書道部顧問の教諭が、実際には出品していない人の名前を借りて出品数の水増しをしたため、その高校で出品された全ての作品が失格になってしまったということです。出品の点数によって受賞できるという団体賞を狙ってのことのようですが、このニュースを聞いた時は本当に胸が痛みました。

これはまぎれもなく、大人の都合によるものですよね。一人ひとりの生徒の将来より、学校の成果を上げる方が優先されているのではないでしょうか。でも、書道は団体技などではなく、個人技なのですから。

ところで、どうしたら書家、書道家になれるのですかと、取材などで質問されることがあります。筆を持ち、墨を使って文字を書けば、誰もが気軽に書家と名乗れてしまう時代ですが、村上龍さんの『13歳のハローワーク』という著書に書かれていることが参考になりますので紹介させて頂きます。

「書道家として生きるには、師匠につき、古典から筆の運び方や文字のなり立ちを学び、書を展覧会に出展しながら、所属する流派のなかで地位を築いていく。ただ、著名な師匠につくのは簡単ではなく、まずは身近に基本をしっかり教えてくれる先生を見つけ、そこで実力をつけてから、師匠のもとに作品を持ち込むなどして認めてもらうことだ。プロの書道家として立っていける人は限られており、大学の書道学科を卒業して教員免許を取り、中学や高校の書道科教師として生計を立てる人、教室を開いて書道を教える人も多い(略)。いずれにせよ、基本を押さえた上で、自分の書を組み立てていく力が必要とされる」

なかなか簡単な世界ではありませんが、だからこそ一生を費やす価値があるのではないかと私は思っています。先日、私の所属している読売書法会の集いがありました。そこであるたいへんに高名な仮名の先生に、失礼ながら、私は思いきって、あることを訊いてみました。その答えを頂いて、私は思わずニンマリとしてしまったのです。

木下 「先生は、この一つの作品を書き上げるのにどれくらいの枚数をお書きになられるのですか?」

先生 「そうですね。500枚は書きますね

木下 「・・・・・・(笑)」

畏れ多い程の先生方も、日々研鑽されています!