中国と日本の緊張関係が続いている昨今ですが、先日、用具を探しに行ったところで、この硯を見つけました。
今から41年前に、日中国交正常化の調印式において、田中角栄内閣総理大臣と周恩来首相の筆の持ち方が、一部の知識人の間で話題となりました。田中総理は筆を斜めに持つ「偏鋒(へんぽう)」、周首相は筆を真っ直ぐ立って持つ「正鋒(せいほう)」でした。正鋒というのは、中国の歴史の中では古くから継承されてきた筆の持ち方で、偏鋒は書聖 王羲之の書法が日本に伝来して、以後、日本に普及したものです。
出発点は違いますが、両国ともに伝統が脈々と受け継がれてきたという点では同じです。数十年単位で考えるのではなく、千年単位で考えることが出来たなら、両国の関係回復の糸口も見えてくると思うのですが。