能登半島を震源とした地震に見舞われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
地震発生から1ヵ月が経ちましたが、未だ不安な日々を過ごされていることと思います。
一日も早く平穏な日常が訪れますことを、祈念致します。
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新しい年がはじまり、はじまったばかりというのに、悲しい出来事が次々に起こっている。
12月31日と1月1日。365日という日常のうちで、この24時間だけに潜む冷たい境界、すっかり世界が遷移するかのような世の中の空気に、ずっと馴染めずにきたけれど、今回ほどそれを重たく辛く感じたことはない。
昨年末、NHK青山校の講座では、杜甫(とほ)の「哀江頭(あいこうとう)」という漢詩から言葉を抜粋して取り上げていた。
人生有情涙沾臆
人生情有り 涙臆(むね)を沾(うるお)す。
人は有情の生き物であるからこそ、多くの感情が溢れてくる。
いつからか大人になって、生き辛い社会の中で、心を枯らしてきた涙もあるけれど、温かい涙は、人の心を癒してくれるものでもあるということを、今は信じたい。
この言葉には続きがあり、実はそれを新年最初の題材として考えていた。
これについて、ここでは言及しないけれど、そのことをもって、嘆き崩れてしまうのか、気持ちを切り替えて力強く生きていくのか、杜甫はこの世における一つの摂理を示している。