土曜日と日曜日。
この感覚が学校を卒業して以来、私にはあまりない。
土曜日は月3回の書道の講義があって、日曜日は月曜日の締切に縛られることが多い。
先日ふと思い立ち、講座の無い月1回の土曜日の午前中に、近隣の市営プールまで足をのばしてみた。
そこがどんなところなんだろうと以前から気になっていた。
屋内に入るととても立派なプールが2面あり、傾斜に何段も設置されたスタンドもあった。
プールには中高年層の男女を中心に、およそ50人くらいはいただろうか。
私は泳ぐわけではなく、スタンドからぼんやりとその光景を眺めていた。
そこには50通りの人生があって、心静かな休日を思いおもいに過ごしていることがうかがえる。
休日をこうして穏やかに迎えられる人たちは、平日もあまり追い立てられるような状況にないのかもしれない。
生き方の選択次第で、人生は大きく異なってくる。
日々押し詰まった状況に置かれ、我が身を顧みる余裕もない私にとってその光景は、自分らしく人生を満喫している人たちの1コマに見えた。
帰り道、舗道から少し外れた路地裏には、紫陽花が慎ましやかにほころんでいた。