まだ春を夢みていた数か月前、一通の便りが届いた。
それは屋号の書を手掛けさせていただいたお店からの、開店のお知らせ。
写真はそのお祝いで集まった記念。
いいもの、悪いもの。
大人になっても曖昧なその基準は、誰にとってもいいものとは限らないけれど、「こういうものがあればいいな」という夢によって生まれる。
その思いの一歩から、年月に修練を積み重ね、準備が進められてきた日々。
利便性や合理性を優先するあまり、試行錯誤の時間や人とのコミュニケーションを忌避して、夢の実現などあるはずもない。
はるか彼方に紅く染まる空を見上げ、友だちと道草をしながら帰宅した子供の頃を思い出す。
無駄と思えるような時間はたくさんあったけれど、そこには未来に向かって豊かな時間が流れていた——。
このお店には、オーナーの夢やこれに関わった人たちの思いが随所にうかがえる。
店内の見立ての竹林から庭へと続く風景は、時々刻々と表情を変え、フランスのエッセンスも取り込まれたという食事は、色艶、食べやすさ、量までが考え抜かれ、ミニマルな姿の中に雅を潜ませている。
それは大人たちがみた夢のかたち。
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写真:鮨玖公式facebookより/写真:左から西畠清順さん(そら植物園)、木下、森田恭通さん(GLAMOROUS co.,ltd.)