美しい人

美しい人

日々流されゆくニュースの中で、千葉真一さんの訃報に目がとまった。
コロナから発症した肺炎とのことで、より辛い。

映画『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』、そして『KILL BILL』を手掛けたクエンティン・タランティーノ監督は、一番敬愛する俳優として千葉さんを挙げている。
リアルタイムではないけれど、国際的なスターであった千葉さんの映画は、六本木のミニシアターで上映された志穂美悦子さんの『女必殺拳』にいたるまで何本か観ている。

「ACTIONとは”演技”という意味だ」、千葉さんはいつもそう言われていた。

小さいながらも書道団体を主宰している私は、千葉さんが主宰されていたジャパン・アクション・クラブ(通称JAC/ジャック)にも興味があり、以前、詳しい人に教えてもらったことがある。
JACの一週間は、身体の鍛錬と精神の学びで詰まっていて、その教えにはやはり、アクションの為のアクションではなく、アクションは演技の一部であるという理念が透けて見える。
月曜日 演技/パントマイム
火曜日 スタント/マットワーク・トランポリン・ダイビング
水曜日 演技/芝居
木曜日   スタント/時代アクション
金曜日 演技/ジャズダンス
土曜日 スタント/現代アクション・極真空手

繰り返して、繰り返して、人は身体を通して得られるものがある。
そうしていざカメラの前に立ったとき、静かな構えのひとつに学んだものが集約されて顕れる。

アクションは演技である以上、美しくなければ意味がない。
とはいえ、表面的に美しく演じようとすれば済むというわけでもなく、人と交えることの重みや、人への敬意も従えるもの。
まさに『KILL BILL』での千葉さんは、それを体現されていた。
その凄みは、誰にでも出るものでもなければ、真似して出せるものでもないと思う。

鍛錬は人を強者にしてくれるかもしれないけれど、人に勝つことだけの強さを養うものではない。

美しい人はそう教えてくれた。

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