先日、東京国立博物館にて、「誕生!中国文明」展の開会式が、中国から要人の方々も多数参列されて盛大に催されました。会場であるロビーには人が一杯で、中に入れなかった人も多かったようです。
ここで、私は公開揮毫を行わせて頂いたのですが、これから2カ月間、博物館の正面入口に飾られる垂れ幕になるということもあり、結構なプレッシャーを感じながら(笑)書かせて頂きました。
当たり前ですが、書というのは後から画像修正などが出来ませんし、揮毫作品は書き直しも出来ない一発勝負です。またこの公開揮毫には、全日本書道連盟の理事長まで務められている新井光風先生や師匠である高木聖雨先生も見に来て頂き、しかも、書の本場!である中国人のご参列者の前でということもあって、それがまたプレッシャー(笑)でした。
写真提供:読売新聞社
さて、揮毫する際にはアーティストのチェン・ミンさんの生演奏とコラボレーションをさせて頂きました。チェン・ミンさんによるこの展覧会のテーマ曲は、中国で王朝が産声をあげてから現在に至るまでを何章かで表現されていると伺いました。中国関係の音楽と言えば、父が持っていたシルクロードというNHKの番組のサウンドトラックで喜多郎さんによるものしか知らず、でもこれは日本人がイメージした中国的音楽ですものね・・・
中国に古くから伝わる二胡という伝統楽器による演奏は、本当に美しく、そして悠久の中国のムードに溢れていて、私の頭の中では勝手に河南省に流れる黄河が想起されて、つい書くことを忘れてしまいそうなくらい(笑)、聞き惚れてしまいました。
それにしても、中国人と日本人は同じ人種でありながら、フィジカル的にもメンタル的にも、どうしてこんなに違うのだろうかと改めて考えてしまいました。今年は奈良の平城京が遷都1300年と言われていますが、今回の展覧会で取り上げられている“夏王朝”は4000年前!と言われていますので、こうした歴史的長さの違いによるものなのか。それとも広大な大陸と小さな島国という環境の違いからくるものなのか。
今、日本では改革!維新!などあちらこちらで声高に叫ばれていますが、それもこれも、小さな国だからこそ、気軽に言えることなのかもしれません。やっぱりスケールの大きさ、たくましさでは勝てないなぁと思うのは私だけでしょうか。これからも今まで以上に精進しなければ、そう決意を新たにした一日でした。