先人たちの記録

先人たちの記録/『誕生!中国文明』展題字 書家 木下真理子_1

先人たちの記録/『誕生!中国文明』展題字 書家 木下真理子_2写真左:JR原宿駅、写真右:JR渋谷駅

現在、駅広告がJR山手線の20駅、京王線を中心に掲出されていますので、ご存じの方もいらっしゃると思います。いよいよ『誕生!中国文明』展が、いよいよ来週開催されます。

私たちが日常で使っている日本語の文字体系は、“漢字”が中国から伝わってきたことにより始まったことを、みなさんに再認識して頂けたらと思っています。漢字の歴史はおおよそ3400年と言われています。一般的によく知られている漢字の形は、学校の教育書道や習字教室で習う「楷書(かいしょ)」と呼ばれる書体ですが、これ以外にも、行書体、草書体、隷書体、篆書体と呼ばれる種類の文字の形があり、それぞれの形が定まるまでには、何百年という歳月がかかっています。

例えば、草書~楷書という“型”になるまでには、およそ750年という時が費やされています。さて、今回の「誕生!中国文明」という私が書かせて頂いた題字について少しご紹介させて頂きますと、隷書体の中でも「古隷(これい)」と呼ばれる形を基調としています。「古隷(これい)」は、隷書がキレイに極まり整った「八分隷(はっぷんれい)」と呼ばれる字の形より古く、石に刻されたもので、碑としての形をそなえていない石刻や、風雨に曝される自然石の魔崖(まがい)に刻された文字です。「古朴(こぼく)」「古拙(こせつ)」といわれる美を備えている文字でもあります。

※魔崖:文字などを刻するために削りならした岸壁

※古朴:古びて飾りけのない・こと(さま)

※古拙:古風で技巧的にはつたないが、素朴で捨てがたい味わいのあること

 刻石の一例

『誕生!中国文明』展は、文字の形がまだまだ発達を目指していた時代と、文字が情報伝達のツールとして活字印刷から電子媒体へ移行しようとしている現代とを繋ぐタイムトンネルのような役割を果たしてくれているのではないかと思っています。

内への力

揮毫 『誕生!中国文明』

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