ジェーン・バーキン


ジェーン・バーキンを最初に見たのは、「knack(ナック)」というイギリス映画だった。
サブカルチャーシーンでは大変に評判の映画で、カンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞作品。
ボーイフレンドのバイクの後部座席に乗っている1シーン。あまりに颯爽としていて(目が釘付けになるほどカッコいい)、今でもそのシーンは脳裏に焼きついている。
それが彼女のデビュー作であったこと、その映画の音楽を手掛けていたジョン・バリー(007など、映画音楽の巨匠)と結婚したことも後から知った。

関心を持つようになったのは、二人目の夫、セルジュ・ゲンズブールとの2ショット写真を見たときだった。この二人は映画誌やファッション誌などによく掲載されていた。
それで彼女の経歴を遡っていくと、先の映画で名も知らなかった女優がジェーン・バーキンであったということを知るに至った。
☞ゲンズブールとの写真はどの写真を見ても、クールなファッション・アイコンだった彼女が、恍惚とした表情を見せていて、女の人は付き合う男の人で、随分変わるものだなぁとつくづく思った。
ゲンズブールは映画もそうだけれど、基本的には音楽家で、ジェーン・バーキンの数多くの曲を手掛けている。
中でも私は『思い出のロックンローラー』という曲が好きで、部屋を掃除しながらよく口ずさんだものだ。ロックスターの名前が並べられている歌詞なので、フランス語ができない私でも歌えた。
そしてその曲に名前が挙がっているアーティスト、例えばオーティス・レディングやブライアン・ジョーンズなどのアルバムを買い求めたりもした。

また、常に自然体であること、人の愛しみ方や苦悩との向き合い方、暮らしの陰影・・・彼女から学んだことは多い。

今でも週に1度は聴く☞『アラベスク』という北アフリカのバンドとのライブアルバムは、「音楽はバイブレーション」であることを改めて教えてくれる。ゲンズブールの曲も久しぶりに歌っているけれど、若い頃とは違い研ぎ澄まされた、深遠な歌声は、何度聴いても引き込まれてしまう。

何億回も、吸って、吐いて、年を重ねてゆく。それが人生であり、生きている証であるとでもいっているかのよう。

音楽をかけると、若い頃から年老いてもなお魅力的だった近年まで、いろんな時代のジェーン・バーキンが、私の暮らしに、ふっと現れる。

感受性

この夏を忘れない

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