古今東西

今年の冬は、例年になく寒さが長引いたということもあり、春の到来の喜びもひとしおに感じていたところ、沖縄では早くも梅雨入りとのニュース。一方、関東は、真夏とでもいうようなキラキラとした日差しのゴールデンウィーク前半となりました。みなさん、いかがお過ごしですか。

私は、先日の突風で延期となってしまった家族での食事会があり、久しぶりに東京駅周辺の散策に行ってきました。今、東京駅は工事が行われていて、1945年(昭和20年)の戦災によって焼失した南北のドームと屋根・内装を復原し、未来へ継承していくという動きがあります。なので、その姿を一度見てみたいとも思っていたのです。東京駅の周りでは、その美しい姿を絵にとどめようとしてスケッチをされている方たちをお見かけしました。最近はデジタルカメラで、パッと写真が撮れてしまう時代ですが、人に迷惑をかけない場所を見つけては、何時間も絵を描かれている方たちに優雅さを感じました。また、一つの建造物が大正から昭和へ、そして戦争を越えて、平成の時代である今も、人々の心を掴んで、心のよりどころとなっているということに触れ、とても感慨深い気持ちになりました。

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その後、もう一つ気になっていた三菱一号館美術館へ。この美術館は、2010年にできたまだ新しい美術館ですが、1894年竣工の建物が外観、内装ともに可能な限り活かされており、そのレトロな雰囲気は、私の心を優しく包んでくれるような気がしました。今、開催されている『KATAGAMI STYLE―世界が恋した日本のデザイン』という展覧会は、日本の美術工芸品の特に「型紙」に注目し、それがアール・ヌーヴォーをはじめとする西欧の美術工芸改革運動へ伝搬し、広がりを見せていったことを概観するというものです。英語圏、フランス語圏、ドイツ語圏の国々での、着物や浮世絵などの日本の型紙のデザインに影響を受けて生まれた工芸の数々を見ることができます。

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もともと日本人は、海外の文化を融合して「和」していくことが気質にも合って、調和させることが上手な民族ですが、ここでは、逆に日本の文化が海外でどう受容されていったのか、欧米の芸術家たちが型紙の魅力にいかに夢中になったのかということを知ることができます。当時の型紙を見ていると、“対象物”を美しい“文様”として表現していった、日本人の繊細さと美しさを極める姿勢、手仕事の暖かさと正確さを改めて再認識できて、その素晴らしさに感嘆せずにはいられません。やはり、日本古来の伝統美には、奥深い魅力が潜んでいます。

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ところで。10年ほど前に買って今も使っているティ―カップがあるのですが、その図柄が今回の展覧会のカタログにも載っている『バーリー』のティーセットの図柄と酷似していて驚きました。家に帰ってから、改めてティーカップの底を見てみたのですが、“MADE IN ENGLAND ”と表記されていて、“BURLEIGH”とも書かれていました。知らずしらずのうちに、日本⇒イギリス⇒日本という文化交流の賜物を享受していたわけですが、とても幸せな気持ちになりました。