先日、プランタン銀座の書道講座の生徒さんから次のような質問をされました。書道の世界で作品を書く時に、持って生まれた才能というものが無いとやはり駄目でしょうか…。
私は即答で、それは違うと思いますとお答えしました。よく、書家は作品をさらさらと一筆で書くように思われ、その生徒さんも、作品を書くには先天的な美的感性こそが全てであり、それが書家としての才能の最も重要な点ではないかと。
確かに一筆で書いていくことに違いはないのですが、瞬間芸のような神技的な書作は、伝統芸術の書道の世界では常識とはされていません。いかに自分が満足いく作品が書けるまで書き続けるか、つまりどれだけ〈書き込んでいくか〉が勝負と言えます。
フィーリングということが逆に通じる世界ではなく、でも一点一画にこだわり書き込んでいると、ある地点から手が勝手に動き出すという不思議な感覚はあります。それはその文字が自分のものになったという瞬間で、そうしたことの積み重ねにより、自分の書風というものが確立されていきます。
とにかく書家は根気と執念(笑)が90%。残りの10%は…、これは秘密ですとお答えしました(笑)。
来週はお仕事で国生みの島、淡路島に行って参ります。また、私が題字を務めさせて頂きました『誕生!中国文明』展が4/5より、奈良国立博物館で開催されます。そのストリート看板が出来たようですので、掲載させて頂きます。近隣の地区にお住まいのみなさん、是非!ご覧下さい。
漢字のルーツである、甲骨文字を現物で確認できます。