漢字文化圏では、今でも共通認識として通用する漢字が808文字あるという。2010年東北アジア賢人会議において提唱された「韓日中共用漢字808字」を普及させるプロジェクトが、本格的に始まっている。画像の「結」という文字もその中の一文字。
ただ漢字発祥の本家、中国ではこれまで幾度かの文字改革が行われており、特に毛沢東の文化大革命を背景に簡略化が進んでいった、いわゆる「簡体字」が一般化している。
一方、台湾や香港では、簡略化以前の時代の字体が「繁体字」(正体字)として今も使用されている。
また東アジアの漢字文化圏の中で、言語に合わせて個々に発達した文字もある。前回の記事でも触れた、日本で独自に発展した「仮名」は漢字がもとになっているし、韓国では「ハングル」、かつてのベトナムの「チューノム」も漢字を応用しながら作られた。
ごく大まかにではあるが、漢字という文字との関わり合いには、それぞれの国の歴史や民族性、アイデンティティといったものが見てとれる。
東京オリンピックに向け展開していく国際交流において、東アジアを結ぶコミュニケーションツールとして「漢字」を見直すことは、有効ではないだろうか。