先日、『墨』(芸術新聞社)の石山編集長から、空海の「風信帖」が特集されたバックナンバー(No.233)をお送り頂いた。
この特集では、思想家の中沢新一さんへのインタビュー記事が興味深かった。
空海は、密教を基盤とした「真言宗」の開祖であり、〈弘法筆を選ばず〉でお馴染みの日本の書聖。
「書道」は日本の文化というイメージを持たれる方も多いかもしれないが、その発祥は中国にある。空海も王羲之などの中国の書、中国では書道のことを「書法」と言うが、それを学んでいる。“法”と言うと、どこか原理主義的な感じがしなくもないけれど、中国にも自然を崇拝する〈道教〉があり、空海はその影響も受けているに違いない。
(日本の神道も道教の影響を受けていることは否定出来ないし、中沢さんは〈空海が日本の「神仏習合」を作った〉と述べられている)
また空海は「ヒンドゥー教」も学んでいたそうだ。
〈ヨガも体得していなければ、あのような字は書けない〉といった中沢さんのご指摘には、思わずニンマリ。
空海の思想や書は「理屈」ではなく、「感覚」によらなければ、捉えられないものなのかもしれない。
NHKスペシャル「巨龍中国」より/題字 木下真理子