日出ずる処

11月2日に帰国しまして、その後、4つの作品の創作と、17日は淡路島での撮影、18日は伊勢での財団法人全国法人会主催による“全国青年の集い”という催しでの公開揮毫と、慌ただしい日々が続きました。

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※写真はクリックすると大きくご覧頂けます

全国法人会というのは、経営者の方々の交友会とでもいうのでしょうか。私の揮毫の前には、経済評論家の勝間和代さんによる講演会もありました。会場である三重サンアリーナには、全国から集まった2000人を超える若き経営者の方々によって熱気が充満していました。

“和を尊び青年の使命を果たせよ” 大会スローガンです。被災地の法人会の代表として、岩手の方が壇上に上がられ、今のこの苦難に向かっていくための言葉を発せられました。私も震災復興を祈念した書をお送りさせて頂きました。そこにいる、それぞれが、同じ日本人として、震災のことを振り返るとともに、これからの道なき道を歩む覚悟を共有し合う、そんなかけがえのない場であったと思います。

何を書かせて頂いたかと申しますと、正岡子規の短歌です。正岡子規は、昨今は司馬遼太郎の『坂の上の雲』の主人公の一人として有名ですが、もともと優れた俳人・歌人として知られた存在です。私の好きな与謝野晶子と同時代に活躍していますが、晶子のようにロマン派と呼ばれるような作風ではなく、彼の作品は写実主義と呼ばれるものでした。頭でいろいろと夢想するタイプのロマン派と違い、目に映る現実をきちんと認識してそれを描写するというタイプといえると思いますが、それが今回の文選にあたり、正岡子規を選んだ理由でもあります。

今、日本は大変な国難の時であり、土壇場まで追い込まれている状況です。でも、ここは地に足をしっかりつけて、踏ん張って、みんなが笑顔を取り戻せるように、力強く生きていきたい、そのようなことを表現できればと思いました。書かせて頂いたのは次の短歌です。

我庭の小草萌えいでぬ限りなき
天地今やよみがへるらし

さて、せっかく伊勢に伺ったということもあり、伊勢神宮に、写真家の佐藤奈々子さんと早朝参拝してきました。開門が朝5時で、一番乗りを目指していたのですが、すでに何人かの方が参拝されていました(笑)。ほんとうに澄み切った空気の中で、心も洗われ、神聖なパワーを頂きました。

書の道‐東西の交流‐

私の仕事着

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