“尽くして開く芸の道”

毎週金曜日(最終週は除く)連載の「言葉のアルバム」、先週は初めて女性の言葉を書かせて頂きました。その女性というのは、漫才師の内海桂子さんです。その内海さんの座右の銘は、「惚れる(ほれる)」でした。“尽くして開く芸の道”。70年以上、芸人を続けてきた方の言葉は、ずしんと重く、そして人間としての迫力に圧倒されます。

ただ、一度お会いしたことがあるのですが、御本人はとても可憐なお方であり、本当に凄い方というのは、こういう人のことを言うのだなぁと思いました。書道家として、人間として、私など本当にまだまだ“ひよっこ”だと改めて思いしらされます。書でいえば、芸ではなく、技法(筆法、間架結構法、布置章法等)の鍛錬だと思うのですが、それを探求していくことは、時に苦痛をともなうこともあります。おそらく、苦痛の方が多いかもしれません。

何でもそうだと思うのですが“道”というものには型があります。例えば、柔道でも、道着を着ているからと言って、好きな戦い方をしていたら、それは柔道とは言いませんよね。そのような型があった上で、いかに自分の個性を光らせることが出来るか、それが“道”のつく世界だと思うのです。そうしてやり続けていくと、ある時ふと、世界が開ける瞬間があります。

それは壁を超えるという感じかもしれませんが、それが何回かあって、やっと自分のスタイルは確立されていくのだと思います。内海さん流に言えば、「惚れこんで、惚れこんで、芸を磨いて継続していくこと」

“惚れる”とは、やはり“覚悟”と“執念”と同意語なのかもしれません。

“尽くして開く芸の道”

※昨年、とある忘年会での一コマです。