角川書店さんからご依頼を頂きまして、『天地雷動』という大型歴史小説の題字を手掛けさせて頂きました。作家は、直木賞最有力候補と目されている伊東潤さんです。
『天地雷動』は、戦国最強の軍を率いて「甲斐の虎」と恐れられた武田信玄の死後、偉大な父の跡を継ぎ、その重荷に葛藤する勝頼の心が描かれており、あの長篠の戦いを舞台にして、天下を狙う信長、秀吉、家康のそれぞれの野望も交錯する、壮大な戦国絵巻です。
伊東潤さんのコメントの一部をここにご紹介します。
「この作品はブラックコーヒーである。甘ったるい恋愛模様もないし、勧善懲悪といったお約束の図式もない。ここには敵に打ち勝とうとする男たちだけがいる」
武田信玄といえば、「風林火山」「影武者」とすぐに思い浮かぶくらいのカリスマ性を持った武将ですが、その家督を継ぐということ、またそれを敵から守り維持していくということの困難さは、計り知れないものがあると思います。攻めている時よりも、守り通そうとすることの方が苦しみが多いということは明らかだからです。
「夏草や兵どもが夢の跡」という松尾芭蕉の俳句があります。今ではその姿形がすっかり風化して無くなっていたとしても、戦場には、とてつもない無常感と生きることへの渇望とが、膨大なエネルギーとなって時空に放出していました。
その迫力を、この本で体感してください。
『天地雷動』は4月21日発売です。