3月は「弥生」と呼ばれるが、“弥”には、いよいよ、ますますという意味があるから、草木が芽吹く季節という意に繋がっているのだろう。
地中からむくむくと芽が出る、それもあちらこちらで。何の疑問も抱かずにいるけれど、よくよく考えてみれば、それは凄いことで、地球そのものが一つの生き物であるとイメージ出来る。人間はその細胞であり、果敢に意志を持って生きていると思っていても、やっぱり生かされているという側面が同時にあることは、自ずと然り。書家としては、書には必ず他力が働いていると実感している。
思うようにいかないことがあって、それは自分だけではないかと思ってみても、俯瞰で捉えれば、それは自分にだけ当てはまる特異なことではない。
物理学でも、宇宙の原理は、〈右へならえ〉を押し付けられた秩序とは違う、“エントロピー(乱雑、不規則、不確実)”の増大であると言われているのだから。