日々の余白

12月の喧騒に満ちたシーズンより、深く静かに過ぎゆく季節を味わえる11月の方を私は好む。
コロナ禍で自粛続きの3度目の秋。平日に仕事を半日休んで、人もまばらな紅葉スポットに出かけた。

初瀬山 夕越え暮れて 宿問へば 三輪の檜原に 秋風ぞ吹く

近衞信伊(このえのぶただ)が長谷川等伯とコラボレーションした作品「紙本墨画檜原図」の題材となった
禅性禅師による和歌。
等伯による金泥引きがもたらす絢爛と水墨の漂泊感が霊妙に響き合う、あわいの美しさの中に、信伊はこの和歌を揮毫している。

もっとも、特筆すべきところは、〝秋風ぞ吹く〟の前の〝三輪の檜原に〟を信伊があえて書いていないところにこそある。

情報が洪水のように溢れている今の世の中で、一番の贅沢は「余白」ではないかと、改めて思った1日だった。

時間をかたちに

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