年末の東京散策

いよいよ2013年も締めくくりとなりました。「年末年始」という言葉を聞く度に、今回こそはゆっくりと過ごしたいと思うのですが、そう思えば思うほど、そうもいかないのは世の常というものでしょうか・・・

思わずの書作の依頼を抱えて、今回も、あまり気の休まらない年末を迎えています。年明けすぐに撮影の仕事も控えていて、ひきこもりがちの身体を少しでも解しておかなければならず、人影もまばらな都会の街を、運動がてら散策することにしました。思えば昨年の今頃は、現在公開中の映画「利休にたずねよ」のタイトル及び劇中字を書作していました。

■丸の内編

年末の東京散策/東映正月映画「利休にたずねよ」題字 木下真理子_1

年末の東京散策/東映正月映画「利休にたずねよ」題字 木下真理子_2

散策は丸の内から始めました。丸の内TOEIで、「利休にたずねよ」の看板を目にして、映画公開の直前に開催された、京都ヒストリカ国際映画祭での田中光敏監督と原作者の山本兼一さんとの利休トークが甦り、感慨深くなりました。→その時の模様はこちら

山本さんは「美はそれ自身が持つ力よりも見る人の心の中にある」とおっしゃられていました。何に対しても、それは向き合う側の心の持ちようにあるのだということを改めて認識させられました。

田中監督は「余白と間(ま)をつないで頂きたい」とおっしゃられていましたが、その言葉通り、この映画においては、世界で一番短い俳句という詩を編み出した、日本人の独自の美意識や世界観が、登場人物の台詞が必要最低限にまでそぎ落とされ、描かれています。

三國連太郎さんが利休役をされた「利休」という映画を頭に思い描かれる方には、少し違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、うらびれて見えているだけが侘び・寂びではなく、その深淵に美の艶めきの世界が広がっていて、その一部が侘び・寂びとして表面に表れるということを、この映画は観ている者に気付かせてくれます。

私は書道を通して、日本という国の文化と歴史、先人たちの人生に触れることで、中国や朝鮮、西洋で生まれた文化を、時代ごとに敏感に感じ取りながら吸収して、日本人は独自の文化へと昇華していった過程を知りました。

そして、自分が書家だからということではなく、日本人であるという実感が出来るようにもなりましたが、同じような体験が、この映画で、お茶道に触れることによって出来ると思います。

また、「おもてなし」と「武士道」、「和食」の無形文化遺産登録、「富士山」の世界遺産登録、東京オリンピック・・・なぜ世界が日本を高く評価するのかも分かるようになると思います。

■芝公園編

年末の東京散策_3

続いて丸の内から日比谷方面へ出て、芝公園まで歩きました。一昨年、墨田区に開業した東京スカイツリーに、電波塔としての役目を受け渡した東京タワー。役目を終えたとはいえ、未だその姿は毅然として、美々たる佇まいは、色褪せていません。

冬のジャパンブルーの空に魅きたつ赤白のタワーは、やはり日本のシンボル。この色彩の美しさは、まさに日本の風景です。

いつまでも眺めていたい・・・、後ろ髪を引かれる思いで歩き、増上寺近くにある「白水」という古美術店へ。年末でまさかとは思いつつも覗き込むと、店主がいらっしゃいました。

年末の東京散策_4

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そこで、2011年に東京芸術大学の大学美術館にも出典されていた香を特別に聞かせて頂き、徳川斉昭が書いた富士山の絵や副島種臣の初期の書なども出してくださり、見せて頂きました。

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その話の楽しさに、運動しに出掛けたこともすっかり忘れ、2時間ほどお邪魔してしまいました。帰りには、佐賀出身の煎茶道の中興の祖といわれる、高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)を偲んで作られた「うれしの茶」までふるまって頂きました。年末のお忙しい最中に、大変なおもてなしを頂きまして、有難うございました。

その帰り道、箱根駅伝の放送車がすでに道路際に待機していました。全国へ中継を繋ぐ為に、念入りな準備がなされています。

みなさんは、どんな年末をお過ごしですか?今年も一年、私のブログを読んでくださり、本当に有難うございました。

どうぞ、良いお年をお迎えください。

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