越冬便り

コートの襟首には風が走り、思わず首をすくめてしまう寒さも一段と増した、今日この頃。いよいよ今年もラストスパートですね。

さて10月よりリニューアルの書道講座ですが、『恋する書道』コースの方は、生徒さんのほとんどが女性です。そこで月に一度、書作の時間の後に、ちょっとしたお茶会の時間を設けています。

越冬便り_1読売新聞より

季節折々の和菓子を頂きながら、書道にまつわる様々なお話をするという時間なのですが、例えば、『正倉院展』の時期には、奈良時代、聖武天皇をお支えしながら、自身もボランティア活動などに精力的で、書道の名手としても知られていた光明皇后のお人柄や生き方について、話し合いました。

先日は、先頃、京都の貴族邸跡から「平仮名」が丹念に記された土器片が多数発見されたという話題を取り上げて、みんなで読み合わせもしました。何と言っても平仮名は、平安時代の貴族の“女性”たちによって編みだされ、『女手(おんなで)』とも呼ばれていますし。

ちなみに、この発見は読売新聞の一面で掲載されていましたが、平仮名の成立した時期が50年程早まるだろうという第一級の発見だそうです。

越冬便り_2

越冬便り_3

ところで、この講座は、何人か海外在住の方も通信教育という形でお受け頂いています。海外で暮らしていればいるほど、日本語の美しさを実感されるそうです。

先日、その中の生徒さんから、手書きのクリスマスカードを頂きました。今は、世界中のどこにいてもメールを打つだけで済んでしまいそうなご時世ですが、こうして一枚の葉書が、遠くアメリカはニュージャージーから届くというのは、やはり感慨深いものがあります。

異国の地で、その土地の歴史が色濃く残る街並みを探し、カメラで撮影して、その写真をカードに貼り付けて、言葉を選びながら、メッセージをカードに丁寧に書く。こうした手作りによるものは、手間がかかるという分だけ、その人の想いとともに、その人の時間をも受け取っている、そんな気がします。お送り頂く側も、受け取る側も、こういうことを“贅沢”と言うのではないでしょうか。

もともと“恋する~”という講座名にしたのは、書道を行っている時間くらいは、恋をしている時のように詩想的で、何事にも換えがたい贅沢な時間を過ごしてもらえたらという考えからきています。

人によって目的というものは様々で、一概には言えませんが、より早く便利になっていくという世の中の方向性により、単に字が上手く書けるようになればいいという、“実用”一辺倒ではなく、、書くという行為に充てる時間が、もっと奥深い人々の想いを紡ぐものになっていったなら・・・。

日々の暮らしの中で、書道というのは、“心の贅沢”であっていいと、私は思っています。

    ほんとうのスマート

    SAMURAI 印

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